公示地価は毎年国が公表する土地の適正価格

ある不動産の相場がどのくらいなのかを知りたいと思ったら、その不動産が過去にどのくらいで取引されていたのか、周辺の不動産がどのくらいで取引されているのかを知ることが最も参考になります。しかし、これらの価格はあまり公にされていないため、相場を知るためには別の価格を参考にしなければなりません。実際の取引価格に最も近いと言われるのは、毎年3月に国が公表している『公示地価』です。これは、適正に土地取引が行われるための指標として国土交通省が評価した土地の価格です。実際に売買する際はこの公示地価を踏まえた上で市況などを加味して価格がつけられ、需要や供給の状況に応じて変動していきます。

公示地価では細かい相場が把握できない!

しかし公示地価を使って相場を調べる場合も注意しなければならないことがあります。それは、公示地価を調査した標準点と呼ばれる地点が全国的に見ると少なく、市街地と郊外で数に差があるため、郊外になるほど狭い範囲の価格差が把握できないことです。そこで使いたいのが『路線価』です。路線価は用途別に2種類あり、公示地価を基準として評価額が決められます。相続したり譲渡する土地の評価額を出す『相続税路線価』と所有資産としての土地の評価額を出す『固定資産税路線価』です。これらの価格はそれぞれ課税額を算出するために使われます。

固定資産税路線価の評価地点は約40万件、公示地価の標準地の約14倍

調査した地点の数は公示地価より固定資産税路線価の方が多く、2018年を比較すると公示地価が2万6千地点、固定資産税路線価がおよそ40万地点と約14倍もの差があります。つまり、固定資産税路線価の方が公示地価より細かい範囲で土地の相場を把握することができるのです。

実際に地図上で公示地価と路線価が土地に対してどのように設定されているのかを見ると、違いがよくわかります。

路線価は道路に沿って設定され、公示地価は地点で設定されている

上の図を見ると、道路に矢印で線が引かれた中に数字が書いてあります。これが路線価で、その道路に面した土地の1m²あたりの評価額を表しています。単位は千円なので、「204」と書かれていればその道路に面する土地のm²あたりの価格は20万4千円ということです。一方で四角で表されている地点が公示地価の標準地です。標準地はその周辺で最も標準的な地点として国土交通省が選定しています。この地図ではわかりやすいように路線価の表示を1つにしていますが、実際は相続税路線価と固定資産税路線価は価格も評価地点の位置も異なります。それぞれの価格は、公示地価に対して相続税路線価が80%程度、固定資産税路線価が70%程度になるよう定められています。

土地の相場が把握できる固定資産税路線価。ただし注意も必要!

固定資産税路線価が公示地価の70%程度になるように設定されているということは、約1.4倍すると基準となった公示地価、つまり実際の取引価格に近い価格を確認することができます。ただしこの価格は相場勘を掴むための目安にすぎません。特に固定資産税路線価は更新が3年に1度のため、再開発が行われている地域などは大幅に変わっている場合があります。また、その土地周辺の需要と供給の状態によっても変動します。最終的に納得して不動産を売買するための一つのステップとして利用するようにしましょう。

周辺地域との価格差を把握するなら路線価マップで!

路線価や公示地価はインターネットで誰でも簡単に調べることができます。しかし、把握したいエリアが広範囲にわたっている場合は確認するのに少し時間がかかってしまいます。まずはこちらの『固定資産税路線価マップ』で大まかな価格差を確認し、詳細に知りたい箇所を『全国地価マップ』で確認すると効率よく相場を知ることができます。

不動産はひとつとして同じものがないと言われるように、適正な価格を把握することも難しいものです。しかし最近は、様々な情報がインターネット上に公開されています。上手な情報の集め方を知っておくことが、資産価値の高い不動産を持つことにつながるかもしれません。