そもそも平屋とはどんな住宅のこと?

平屋とは、平面に部屋を配置する1階建て住宅のことです。建築物の構造としてはもっともシンプルなスタイルで、日本では古くから平屋が主流となってきました。また、2階建てよりも構造が安定し、目も届きやすいことから、高齢者や子どものいる世帯向けにもおすすめです。さらに、近年はモダンなデザインや高機能な設備を取り入れた平屋も多く、幅広い世代からの人気が高まってきています。


平屋を建てる際に「広いLDKが欲しい」「仕事部屋が欲しい」となると、その分延床面積が必要です。平屋は一般的な2階建てよりも広い敷地を必要とすることが多いため、地価の高い都市部よりは郊外に建てられる傾向があります。

平屋のメリットとデメリット

平屋には2階建てにはないメリットがありますが、当然のことながらデメリットもあります。それぞれ見ていきましょう。

平屋のメリット

  • 上下階の移動がないため、住居内の移動がスムーズ
  • 住宅の耐震性が高い
  • 外壁や屋根の修繕がしやすい

平屋のメリットは、上下階の移動がなく住居内の移動がしやすく、階段のスペースもいらないことです。生活動線が集約でき、家族とのコミュニケーションも取りやすいでしょう。


また、構造が安定しているため、耐震性が高く、大きな庇(ひさし)や高い天井をつくりやすい点もメリットといえます。高さのある2階建てよりも維持コストを抑えられ、修繕費用を節約できます。

平屋のデメリット

  • 広い敷地が必要
  • 建物の中心部分の日当たりが悪くなる可能性がある
  • プライバシーの確保が難しいケースがある
  • 縦の変化を出せない

平屋で十分な生活スペースを確保するとなると、広い敷地が必要です。地価の高い都市部ではその分土地代が高くなるため、敷地面積が狭いと平屋の実現が難しい場合もあります。


また、平屋は屋根の面積が広いので室内が暑くなりやすく、逆に冬場は建物の中心部分に日が当たりにくく冷える傾向があります。冷暖房効率が下がりやすいため、エアコンの設置場所を工夫する必要があるでしょう。エアコンの冷気や暖気が他の部屋に広がりやすいように廊下なしの間取りにするという手もありますが、そうすると結果的に部屋数が少なくなってしまいます。


周囲の環境に影響を受けやすいことも平屋ならではの特徴です。外から中が見えやすい点もデメリットに挙げられ、庭のスペースが狭い場合は塀や柵を設置して防犯対策をすることが重要です。また、ワンフロアで家族が顔を合わせる機会が多いことから、家族間のプライバシーを守りたい場合は部屋の配置を工夫しなければなりません。


さらに、2階建てのように、階によって共有スペースとプライベートスペースを分けることや、2階からの眺望を楽しむなど、階数や高低差による縦の変化を出すことができないので、暮らしが単調になってしまうこともあります。

平屋と2階建ての建築コストと税金の比較

平屋は、2階建てよりも建築費用が高くなりやすいといわれています。その理由は屋根・外壁・基礎の面積が2階建てよりも広くなるためです。特に基礎の部分に関わる工事は費用が高くなるので、同規模の2階建てよりも1~2割程度建築費用が高くなる傾向があります。


入居後の維持費については、2階建ては外壁塗装などで足場を組んで工事を行うため、費用が高くなりがちですが、平屋は2階がない分メンテナンス費用を抑えることが可能です。


住宅に関わる費用は、ハウスメーカーや住宅の規模などの条件によって、相場が異なります。必ずしも2階建てよりも平屋の方が高いというわけではありませんが、維持費を含めたトータルコストを比較検討することが大切です。

平屋を建てるときに気をつけたいポイントは?

実際に平屋に住んでみると、想定していたよりも不便さを感じることがあるかもしれません。前述した平屋のデメリットを踏まえ、平屋を建てるときの土地や間取りの条件について、以下のポイントを確認することが重要です。

  • 必要な部屋数を確保できる敷地条件かどうか
  • 日当たりの確保ができる条件がそろっているか
  • 外部からの視線対策はどうするか
  • プライベートな空間を確保するための配置になっているか
  • 家事動線がスムーズになっているか
  • 屋根は断熱性の高い素材を使用しているか

平屋を建てるときは、土地の条件や周辺環境についてしっかりと確認することが大切です。二世帯で住む場合や子どもがいる世帯などは、必要な数の居室を確保するために、土地の広さを必ず確認するようにしましょう。また、周囲の高い建物が日当たりに影響を与えるかどうかや、柵や庭などで視線対策ができるかといったポイントで土地を選ぶのもおすすめです。


間取り次第では、コの字型タイプにすることで採光条件を改善でき、玄関から直接居室に行ける動線でプライバシーを確保することも可能になります。さらに、夏の暑さに備えて屋根は断熱性の高い素材を選ぶのもポイントです。

平屋の間取り事例を紹介

それでは最後に、平屋の間取り例を紹介します。

上記は建物面積が約27坪(約89平米)の3LDKの平屋の間取り図です。すべての居室が南面に窓を設けているとともに、LDKは3面採光となっており、居室も角部屋は2面採光で明るさを確保しています。玄関からそれぞれの居室へは直接移動でき、ウォークインクローゼットやシューズインクローゼットもあるので、荷物が多いファミリーにぴったりの間取りです。

上記は建物面積が約31坪(約102平米)のコの字型タイプの平屋の間取りです。4LDKで東・西・南に窓が設置され、採光・日当たり条件が工夫されています。各部屋だけでなくLDKの床下や廊下部分にも収納スペースが設けられ、主寝室にはウォークインクローゼットもついています。水回りはコンパクトにまとめられ、生活動線の良い間取りです。


ワンフロアの平屋は採光や冷暖房効率を考えて間取りや設備を工夫するのがおすすめです。専門家にも相談しながら後悔のない家づくりを進めていきましょう。



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