土地を相続する場合はどんな手続きが必要?

家族や親などから土地を相続すると、主に「相続登記」と「相続税の申告」の2つの手続きが必要になります。それぞれの詳しい内容を見ていきましょう。

相続登記(土地の名義変更)

相続によって土地などの不動産を取得した際は、「相続登記」を行います。相続登記とは、相続による不動産の名義変更手続きのことで、土地の名義を前の所有者から自身の名義へと変更します。


相続登記をせずにいると、土地の売却ができなかったり、登記簿を見ても土地の持ち主が分からずに取引が進められなかったりといった問題が起こります。そのため、土地を相続する場合には土地を取得した相続人が、管轄の法務局で手続きを行います。


これまでは相続登記は義務化されていませんでしたが、「所有者不明土地問題」に対処するため、法改正による相続登記の義務化が決定しました。これにより、2024年4月1日から相続登記は義務となります。


相続登記の費用としては、土地と建物それぞれの「固定資産税評価額×0.4%」の登録免許税が発生します。

相続税の申告

相続税とは、お金や土地などの財産を相続した場合にかかる税金のことです。土地を含む財産の相続により、受け取った金額が基礎控除額を超える場合は、相続税の申告手続きが必要になります。


国税庁の「相続税の申告事績の概要(2020年度)」によると、相続税の支払いをした人は全体の8.8%で、申告をした人の9割以上が相続税を納めていないことになります。これは、相続税が基礎控除額を下回るケースが多いことが理由となっています。


相続税は、「3,000万円+(法定相続人の数)×600万円」で計算できます。つまり、仮に法定相続人が2人であれば、「3,000万円+2×600万円」、すなわち4,200万円が基礎控除額となり、土地を含めた相続財産の合計が4,200万円以下であれば、相続税の申告・納税が不要になります。


相続税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に、管轄の税務署にて申告手続きを行います。申告書は郵送または持参にて提出し、手数料等はかかりません。

土地を相続するときの注意点

土地などの不動産を相続する場合、遺言書がある、相続人が1人である、法定相続分で相続するといったとき以外は、相続人全員で話し合い遺産分割協議書を作成し、相続登記をする必要があります。つまり、遺言書がなく、兄弟などの法定相続人が複数いる場合は、全員で誰が何を相続するかを決め、所有権変更の手続きが必要になります。もし合意に至らなかった場合は裁判所に遺産分割調停を申し立てることになり、調停が成立しない場合は、遺産分割の内容を裁判所が審判にて決定します。


また、もし被相続人が遺言書を作成していた場合は、遺言書の中で誰に何を相続させるか指定することが可能です。

マイナスの財産であれば「相続放棄」も可能

相続される財産は、借金も対象になります。そのため、もし相続人が望めば、相続を放棄することも可能です。ただし、相続放棄は相続を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを行う必要があります。また、一度相続放棄をすると撤回はできません。


田舎の両親の土地を相続するといったケースがありますが、土地の活用法が見つからず、買い手もなかなか見つからないといった声が問題視されています。そのため、相続放棄したいと考えることもあるかもしれませんが、相続放棄については相続する財産のすべてを放棄することになるため、土地だけを手放すといったことはできないことに注意が必要です。


また、土地の相続を放棄する場合は、別の相続人がその土地を管理するまで、管理継承義務が発生する点にも注意しましょう。

土地を相続するときは専門家にも相談してみよう

相続に関する手続きについては、専門的な知識が必要になることも多いため、不安な人は専門家に相談するのがおすすめです。しかし、相続の手続きといっても種類があり、相談する専門家も異なります。


今回紹介した相続登記などの名義変更については司法書士へ、相続税の申告手続きに関しては税理士に相談するのが適しています。また、相続の際の人間関係のトラブルについては弁護士に相談してみるのもいいでしょう。名義変更は自身で行うこともできますが、不安な人は専門家にも相談しながら手続きを進めていきましょう。



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