住宅ローンの主な審査項目

住宅ローンを組むためには、まずは審査に通らなければなりません。住宅ローン審査の主な流れは、以下のとおりです。


ステップ1:事前申し込み

ステップ2:事前審査(仮審査)

ステップ3:正式申し込み

ステップ4:本審査

ステップ5:契約


事前審査は金融機関によって行われるもので、自己申告した年収などの情報を基に、返済能力を確認します。一方、事前審査通過後に申し込みができる本審査では、金融機関のほかに住宅ローン保証会社や団体信用生命保険会社など、複数の会社が審査を行います。


審査の基準は各金融機関や会社によって異なりますが、あらかじめ多くの金融機関で重視されている審査項目について把握しておくことが大切です。それでは、具体的な審査項目について見ていきましょう。

年齢(借入時年齢、完済時年齢)

住宅ローンは融資額が大きく、返済期間が30年以上と長期になるケースがほとんどです。審査する側としては、契約者が住宅ローンを完済できるかどうか、借入時や完済時の年齢をチェックする必要があります。


住宅ローンを取り扱う金融機関の多くが、ローン完済時の年齢を80歳までと設定しています。そのため、たとえば定年が近づいてくる50代以降の場合は、融資額によってはローンの審査に通りにくくなるといわれています。

健康状態

住宅ローンを契約する際は団体信用生命保険への加入が条件となることが多く、仮に契約者に万が一のことが起こった場合は保険金によってローン残高が支払われます。


団体信用生命保険に加入する際は健康状態の告知義務があり、持病があるなど、健康状態が悪い場合は保険への加入ができないケースもあります。つまり、健康状態によっては住宅ローンを組めない可能性があるということです。


フラット35のように、団体信用生命保険に加入しなくてもローンが組める場合もありますが、健康面に不安要素があればその分、審査は厳しくなります。

年収

住宅ローンの審査では返済能力についてチェックされますが、その判断基準となるのが年収です。ただし、年収が低いからといってローンの審査に落ちるわけではありません。借入額に対して返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)がどれくらいかが、ポイントになります。


返済負担率は金融機関によって審査基準が異なりますが、多くの金融機関が「年収400万円以上は35%以下」、「年収400万円以下は30%以下」としています。借入希望額が大きくなければ年収が低くても審査に通る可能性があります。逆に、収入が高くても借入希望額が年収負担率の35%以上となると、審査に通りにくくなるでしょう。

勤続年数

住宅ローン契約者の返済能力を確認する際には、勤続年数もチェックされます。勤続年数が長ければ、金融機関側は「ローンの返済も滞りなく行える」と判断できるので、審査項目のなかでも重点が置かれています。


近年は勤続年数が1年未満でも審査基準を満たすケースが増えてきていますが、何度も転職を繰り返していたり、住宅ローンの審査中に転職したりする場合は、審査に影響が出る可能性があります。

過去の借り入れ履歴と現在の借り入れ状況

住宅ローンの審査では個人信用情報を使った調査があります。クレジットカード利用時の滞納記録や、車などほかのローンの返済の有無などがチェックされ、たくさんクレジットカードを持っている場合は審査に不利になる可能性があります。


口座の残高不足で引き落としができなかったケースが5年以内に1回以上ある場合は注意が必要ですが、もし個人信用情報に「異動」という記録が付いている場合は、ローンの審査に通ることがかなり厳しくなります。個人信用情報における異動とは、過去に3ヶ月以上の支払いの遅れがあったり、自己破産や保証会社による代位弁済があったりした際に記録されるものです。

担保評価

住宅ローン返済中は、購入した不動産(土地や建物)の権利を持つのは金融機関で、この権利のことを抵当権といいます。住宅ローン契約者の返済が難しくなった場合、金融機関は抵当権を利用して物件を売却し、ローン債務を回収します。そこでポイントになるのが不動産の価値、すなわち担保評価です。


担保評価は新築物件と中古物件で算定方法が異なり、築年数が古いほど担保評価が下がります。担保評価が高い物件であれば、ローン債務の回収がしやすくなるため、住宅ローン審査時にも担保評価がチェックされます。

金融機関が重視している審査項目とは?

住宅ローンを提供している民間金融機関に「融資を行う際に考慮する項目」について尋ねた調査では、以下のような結果となりました。

1位完済時年齢99.1%
2位健康状態98.2%
2位担保評価98.2%
4位借入時年齢97.8%
5位年収95.7%
6位勤続年数95.3%
7位連帯保証95.1%
8位返済負担率92.1%
9位金融機関の営業エリア91.0%
10位雇用形態76.4%
11位融資可能額(購入の場合)74.3%
12位融資可能額(借換えの場合)69.4%
13位国籍69.3%
14位カードローン等の他の債務の状況や返済履歴64.2%
15位申込人との取引状況45.8%
16位業種30.1%
17位家族構成23.7%
18位雇用先の規模21.6%
19位所有資産21.0%
20位性別17.5%
21位その他4.1%
国土交通省「民間住宅ローンの実態に関する調査(2020年度)」

金融機関が住宅ローンの審査時に重視する項目でもっとも多かったのが「完済時年齢」でした。また、1位~9位までの9つの項目においては、9割以上の金融機関が重視していると回答しています。


7位には「連帯保証」がランクインしていることから、連帯保証人がいることで、金融機関にとっては安定した返済への安心材料となっていることが分かります。連帯保証人がいると融資可能額が上がるケースもあり、共働きの場合には夫が契約者、妻が連帯保証人という形で契約するケースが多く見られます。


13位には「国籍」がランクインしています。外国籍の人が住宅ローンの申し込みをする場合、永住権を持っていることを条件としている金融機関がほとんどです。以前は返済期間中のビザの期限切れなどの理由で不安視されていましたが、最近では契約者の配偶者が日本国籍を持っていることを条件に利用できる住宅ローンもあります。


住宅ローンの審査項目や基準は金融機関等によって異なりますが、今回紹介した審査基準を参考に、住宅ローンについて検討してみてください。



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