一戸建てとマンション、みんなはどちらを選ぶ?

国土交通省の「土地問題に関する国民の意識調査(2019年度)」によると、望ましい住宅の形態として「一戸建て」と回答した人がもっとも多い60.3%、「戸建て・マンションどちらでもよい」と回答した人が23.6%、「マンション」と答えた人が13.6%という結果となりました。


この調査の結果から、マイホームとして一戸建てを選ぶ人が多い傾向があることが分かりました。それでも、いざ自分が家を建てるとなると、本当に一戸建てでいいのか、マンションの方がよかったのでは…と迷うこともあるかもしれません。

一戸建てとマンション、それぞれの特徴とメリット・デメリット

当然ながら、一戸建てとマンションには、それぞれメリットもデメリットもあります。それぞれを整理して見ていきましょう。

一戸建てのメリット・デメリット

一戸建てとは、1つの建物に家族が一緒に暮らしている住宅のことを意味します。マンションと比べると居住面積が広く、ペットを飼ったりガーデニングを楽しんだりと、規約にとらわれることなく自由に生活することが可能です。小さな子どもがいても階下への騒音などを気にする必要がなく、増改築や修繕をある程度自由に行うことができ、土地も自分の資産として所有できます。


一戸建てのデメリットは、立地条件によっては通勤・通学・買い物などで不便さを感じることがあったり、修繕費を自分で管理しなければならなかったりすることなどが挙げられます。空き巣などの被害はマンションよりも一戸建ての方が多いといわれており、セキュリティ対策は必須といえるでしょう。

マンションのメリット・デメリット

マンションは、都市部や駅の近くにあることが多く、一戸建てよりも利便性が高いことが最大のメリットです。オートロックや管理人常駐など、セキュリティ面も安心で、維持管理は管理費・修繕積立金を支払うことで、マンションの管理会社に任せることができます。また、好立地のマンションの場合は売却がしやすく、賃貸にも出しやすい点が魅力です。


一方、マンションに多いのが騒音や近隣とのトラブルです。駅が近い場合は、電車や周辺施設の音が気になったりすることもあるかもしれません。また、上下階や隣室の騒音に悩まされたり、逆に騒音でクレームを受けたりする可能性もあります。普段から騒音に気を使うなど、共同住宅ならではの気苦労がある点がマンションのデメリットです。

一戸建てとマンションの比較項目

住まいに求める条件は、人によってさまざまです。マイホームを購入する際にマンションよりも一戸建てが適しているかどうかは、以下のポイントの比較項目をチェックしてみましょう。

販売価格

住宅金融支援機構「2021年度 フラット35利用者調査」によると、一戸建てとマンションの購入価格(所用資金)の全国平均は、以下のとおり、マンションの方が高いという結果になっています。


  • 新築マンション…4,528万円
  • 注文住宅(土地付き)…4,455万円
  • 注文住宅…3,572万円
  • 建売住宅…3,605万円

マンションは地価の高騰により、一戸建てよりも販売価格が高くなっています。エリアや予算にもよりますが、「価格の安さ」という点では、マンションよりも一戸建ての方が購入しやすいといえるでしょう。

資産価値

資産価値の高さという点では、立地条件がよく需要の高いマンションの方が有利といえます。


ただし、一戸建てでも長寿命の長期優良住宅や鉄筋コンクリート造住宅であり、かつ駅から徒歩15分以内で落ち着いた住宅街といった条件がそろえば、資産価値は高くなります。 また、コロナ禍以降はリモートワークの普及などに伴い、東京都においては駅から離れていても相応の広さがある一戸建ての需要は伸びており、資産価値も上昇傾向にあります。


自分がこれから建てようとする家が、資産価値が高いのか低いのか、近隣のマンションと比べるとどうなのかなど、土地選びや住宅の設計段階で資産価値について意識してみるといいでしょう。

住宅性能

住宅の性能については、一戸建てとマンションに差はほとんどないといえます。たとえば、「高気密・高断熱」といった条件であれば、マンションでも一戸建てでもこの条件を満たすことが可能です。また、一戸建ての省エネ住宅は、太陽光発電によって光熱費がお得になるといったメリットがあります。


住宅の「耐震性」という条件では、地盤が強く耐震等級の高い住宅であれば一戸建て・マンションとも、災害時も安心です。


住宅性能を重視した住宅を選ぶのであれば、高性能で地震に強い家を建てられる一戸建ての方がおすすめです。ハウスメーカーによっては独自の工法で地震の揺れに耐える住宅を販売しているケースもありますので、カタログを取り寄せてメーカーごとに特徴を比較してみましょう。

維持費

住宅購入後の維持費については、マンションの方が一戸建てよりも高くなる傾向があります。住宅購入後は固定資産税・都市計画税・修繕費・保険料といった維持費がかかりますが、マンションはこれに加えて管理費や駐車場代(利用者のみ)などがプラスされます。


また、固定資産税は木造よりも鉄筋コンクリート造などの方が高く設定されているため、固定資産税額はマンションの方が高い傾向にあります。

リフォーム・増改築のしやすさ

間取りの変更や、好きな設備の追加など、リフォームや増改築のしやすさという点では、圧倒的に一戸建てが有利になります。マンションでもリフォームができるケースはありますが、一般的にはリフォームできる範囲や内容が限られます。


ライフスタイルの変化や住む人の状況に合わせて自由に住まいを改築したいという人には、一戸建てが適しているといえます。

生活のしやすさ

一戸建てとマンションでは住み心地が異なります。独立性という意味ではマンションよりも一戸建ての方が優れており、防音性も一戸建ての方が比較的安心といえます。近所付き合いは一戸建て、マンションどちらも生活するうえで大切な要素となりますが、のびのびと暮らしたいという人は一戸建ての方が向いているでしょう。


注文住宅は住む人の好きな間取りや設備を取り入れることができるため、あらかじめ間取りや設備が決まっているマンションよりも、自分にとって生活しやすい住環境で暮らすことができます。ただし、通勤・通学・買い物などの利便性については、マンションの方が有利になるケースもあります。


一戸建てとマンション、どちらが生活しやすいかは、住む人の考え方によって異なります。実際に生活するシーンをイメージしながら比較してみましょう。

老後の暮らしやすさ

利便性の高さといったメリットから、老後は一戸建てからマンションに住み替えるという人も少なくありません。マンションの近隣にスーパーや病院などがあれば、車がなくても徒歩で移動が可能です。また、近年はバリアフリーに対応したマンションもあり、シニア世代のマンションへの住み替えを後押ししています。


しかし、一戸建てでも近隣に必要な施設があれば、老後も無理なく暮らすことができます。コンパクトな家であれば室内の移動にも負担がかからないため、老後の生活を踏まえて家を建てるのであれば、一戸建てでも問題ないでしょう。

一戸建てとマンションで迷ったときのポイント

これまで紹介してきたとおり、一戸建てとマンションにはそれぞれ特徴があり、住む人のライフスタイルや住まいに求める条件によってどちらがよいかは異なります。


一戸建てとマンションで迷った場合のために、住まいに求める条件を整理し、優先順位を決めておくといいでしょう。土地を含めて所有したいのか、利便性の高い地域に住みたいのか、公共交通機関の利用をメインにしたいのかなど、どちらが自分や家族の要望をかなえる住宅なのか、専門家にも相談しながらしっかりと検討するようにしましょう。


関連リンク


注文住宅について調べる

一戸建てを探す

マンションを探す