土地を買うまでの一般的な流れとは?

一般的に注文住宅では、情報収集から土地を購入するまでに半年~1年以上の期間を要します。ここで紹介しているステップや期間はあくまで目安であり、いくつかの手順を並行して行うこともあります。それぞれのステップを見ていきましょう。

住みたいエリアを決める(1~3ヶ月)

土地を購入するためには、まずは自分が住みたいエリアを探さなくてはなりません。通勤や通学が便利なところ、自然が豊かな場所など、自分のライフスタイルに合ったエリアをピックアップしましょう。

家のイメージを決める(1~3ヶ月)

どのような家を建てるのか、イメージを決めます。建てる家の構造によって、購入すべき土地は変わります。平屋なのか、2階建てなのか、木造なのか、鉄筋コンクリート造なのかなど、思い描くイメージを事前にまとめておきましょう。

土地を探して決定する(2~6ヶ月)

土地を探して決定するまでの流れは以下のとおりです。



<土地探しの手順>
  • 情報を集める
  • 現地で確認
  • 調査を依頼

<並行して行っておくこと>
  • 施工会社を決めて住宅のプランニングを開始
  • 住宅ローンの借入先を決める

インターネットで検索したり、不動産会社やハウスメーカー・工務店などに依頼したりしながら土地の情報を集めます。気になる土地が見つかったら、必ず現地に足を運んで道路状況や周辺環境を確認しましょう。


希望に合う土地が見つかったら、地盤調査と敷地調査を依頼します。問題がなければ次で紹介する購入手続きに進み、問題があれば再び情報収集・現地確認の手順に戻ります。


地盤と敷地の調査を実施するのは、ハウスメーカー・工務店などの施工会社、または施工会社が手配した調査会社が行うのが一般的です。そのため、土地探しと並行して、あるいは土地探しの前に施工会社を決めてプランニングを進めておくとスムーズです。


ちなみに、住宅ローンの事前審査では建築する住宅の見積書が必要です。つまり、土地購入で住宅ローンを利用する場合は、土地購入の時点でおおまかな住宅プランを決めておく必要があるということです。


くわえて、このタイミングで住宅ローンの借入先の見当もつけておくと、以降の手順が円滑です。

購入申込書を提出する(1日)

不動産の売買契約をする前に売主に対して購入の意思を表示する書類です。購入者の情報や購入希望価格、契約の希望日や引き渡しの希望条件などが記載されています。法的拘束力はありませんが、不動産購入には欠かせない手続きです。

住宅ローンの事前審査を受ける(1日〜1週間)

購入申込書を提出したら、すぐに住宅ローンの事前審査(仮審査)を受けます。売買契約が成立しないうちは、ほかに購入希望者がいれば売れてしまう可能性があります。できるだけ早く行動するといいでしょう。なお、事前審査の期間は早ければ1日、長くても1週間程度です。

売買契約を結ぶ(1日)

不動産会社から購入した土地について重要事項説明を受けたら、いよいよ契約に進みます。契約時には、手付金を支払う場合がほとんどです。

住宅ローンの本審査を受ける(1~3週間)

住宅ローンの正式申込を行うための本審査を依頼します。本審査は事前審査よりも提出書類が多くなるほか、事前審査よりも多くの期間を要します。

金銭消費貸借契約を結ぶ(1日)

住宅ローンの契約が成立したら、金銭消費貸借契約を結びます。これは、借主が貸主から金銭を借り入れ、将来同額の返済をする約束を結ぶものです。返済額をはじめ、返済期日や期間、金利、返済が滞った場合の措置などが書かれています。

土地の代金支払いと登記手続きをする(1日)

土地の代金を支払ったら、司法書士へ所有権移転登記手続きを依頼します。

土地購入において必要な書類は?

土地を購入するまでには、下記のようなさまざまな書類が必要になります。1つでも不備があると、土地を購入することはできませんので注意しましょう。

土地購入において必要な書類
本人確認書類(運転免許証等)
印鑑(実印、認印)
住民票
融資関連書類(ローンを利用する場合)

・不動産融資事前審査申込書
・収入が分かる書類
・印鑑証明書等

それぞれにどんな役割や意味があるのかを解説していきます。

本人確認書類・住民票

土地の登記手続きの際に必要です。本人確認書類は運転免許証や健康保険証、マイナンバーカードなどのことです。住民票は一通用意します。なお、その土地に住むのなら新住所に移したあとの住民票を用意した方が、将来住所が一致していいでしょう。

印鑑・住民票

土地の売買が成立して所有権が移転すると、土地の名義は売主から買主に書き換えられます。その書き換えの証拠として、印鑑(認印で可)と住民票が必要になります。

不動産融資事前審査申込書

住宅ローンの事前審査を行ってもらうため、金融機関へ提出する書類です。

源泉徴収票や確定申告書の写し、印鑑証明書

住宅ローンの事前審査を申し込む際には収入が分かる書類が必要です。会社員など給与所得者は源泉徴収票、個人事業主は確定申告書の写しを用意します。また、銀行が本人であることを確認するために、実印と印鑑証明書も必要です。

土地購入において必要な費用は?

土地を買った場合に発生するお金は、土地代だけではありません。登記にかかる費用や手数料をはじめ、購入後には土地の整備や工事にも一定の費用がかかります。具体的には下表のような費用です。

土地購入において必要な費用
手付金
残代金
収入印紙
仲介手数料
融資手数料等(ローンを利用する場合)
固定資産税等の清算金
登記費用
不動産取得税
農地転用の費用(地目が農地の場合)
インフラの工事費用(インフラ整備が必要な場合)

これらの費用の詳細についてそれぞれ解説していきます。

手付金

買主が売主に対し売買契約の証拠として支払うもので、相場としては売買代金の5~20%が一般的です。

残代金

手付金を除いた土地の代金です。土地購入でローンを利用する場合は、「つなぎ融資」を利用する方法があります。

収入印紙

不動産売買契約書や住宅ローンの金銭消費貸借契約書に貼付する税金のことです。契約書に収入印紙を貼付することで納付となり、額面は成約価格によって異なります。

仲介手数料

売主と買主の調整役として不動産会社が契約事務を行った場合に発生する手数料です。売主から直接購入する場合は、仲介手数料はかかりません。400万円を超える土地の場合、手数料額は、土地の売買価格に対して3%+6万円で計算されます。

融資手数料とローン保証料

融資手数料は住宅ローンを利用する場合に金融機関に支払う手数料です。手数料額は3万〜5万円程度、あるいは融資額に対して2.2%と設定されていることもあります。


ローン保証料は、住宅ローンの保証人を保証会社に依頼するときにかかる費用です。相場はおおむね融資額の2%となります。

固定資産税等の清算金

手付金を除いた土地の代金です。土地購入でローンを利用する場合は、「つなぎ融資」を利用する方法があります。

登記費用

不動産の所有権が移ったときは所有権移転登記が必要となり、登記手続きは司法書士に依頼するのが一般的です。登記費用の内訳は、登録免許税、不動産の調査費、書類作成費、司法書士への報酬などになります。

不動産取得税

不動産を取得した際に発生する地方税の一部です。土地と建物に課税され、都道府県に納付します。

農地転用関連の費用

登記における土地の地目が田や畑といった農地で登録されている場合は、住宅建築を目的とする土地を示す「宅地」へ変更する必要があります。この際に、農地法に基づいた許可や届け出を行政書士に依頼する費用のほかに、地目変更登記を行う際に発生する土地家屋調査士への費用が必要です。

インフラ関連の工事費用

土地に上下水道やガス、電気などを引き込む場合の費用です。土地の状況によって、費用に差があります。

土地を買うのに最適なタイミングは?

土地を購入するタイミングとしては、ライフイベントと、住宅市場の動向を総合して決めるのがいいでしょう。


ライフイベントとしては、生活の変化を基準に考えます。結婚や出産など、新たな家族が増えたときや、子どもの成長に合わせて教育環境を変えるケースなどがあります。ほかにも、子どもの独立によって同居の家族が減る場合に、現状よりもコンパクトな土地を購入するケースもあります。


また、住宅市場の状況をチェックしながら購入を検討する方法もあります。人口の増加や交通インフラの改良など、地域の周辺環境の変化により地価は上昇します。その一方で多くの土地が一斉に売却された場合は、地価が下落します。こういった状況を見極め、希望に沿った予算で購入できる土地を狙う方法もあるでしょう。そのためには、常に周辺地域の情報などにアンテナを張っておくことが大切です。



土地を購入する際には、多くの手続きとそれにひもづく費用が発生します。土地の購入代金以外の費用を想定した予算プランを立てつつ、自分たちの暮らしに合った土地を購入するようにしましょう。



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