注文住宅で失敗する原因は?

注文住宅の失敗で多いのは、家事動線や生活動線などの間取りに関する失敗です。その原因としては、普段の生活で人がどのように動くのかをイメージせずに間取りや設計を決めてしまうことが考えられます。
注文住宅を建てるうえで重要なポイントは、新居での暮らしをはっきりとイメージできるかです。家事動線と生活動線が交わったり、複雑になったりすると毎日の生活でストレスを感じてしまいます。実際に生活するシーンを思い浮かべながら、家事のしやすさや、プライバシーの確保を考えた動線設計に加えて、子どもの成長や独立などライフスタイルの変化や、ライフプランをふまえたシミュレーションをすることが大切になってきます。
注文住宅のよくある失敗例と対策法

注文住宅におけるよくある失敗例としては、以下のようなケースが挙げられます。
- リビングの冷暖房効率が悪い
- 水回りの配置が使いづらい
- お風呂や洗面所のスペースが狭い
- 部屋を多くつくったが、結局使わない
- 窓の配置が悪く外から室内が見えやすい
- 収納スペースが足りない、使いづらい
- 必要な場所にコンセントがない
特にリビングや、キッチン、水回りの失敗は、注文住宅の失敗例としてよく挙げられます。他にも、収納や間取り、コンセントに関する失敗など、注文住宅は自由度が高い分、失敗しやすいポイントがたくさんあります。
注文住宅のよくある失敗例とその対策について、具体的にどのようなものがあるのか詳しく見ていきましょう。
リビングに関する失敗
リビングは、多くの方が「明るくて広いリビング」を希望条件として挙げます。大きな窓を設けたり、吹き抜けで日当たりをよくしたりするケースもあるでしょう。しかし、ここで注意したいのが、「冷暖房効率が悪い」「掃除が大変」といった失敗例です。
リビングを吹き抜けにする場合は、床暖房を設置すれば暖かい空気が逃げにくく、冬でも快適に過ごせるでしょう。また、リビングを広くする場合、引き戸などで必要に応じて区切れるようにすると冷暖房効率が良くなります。広いスペースは、掃除のしやすさといった観点で部屋の広さや、設置する設備について検討することもポイントです。
キッチンに関する失敗
キッチンは、アイランド型やL型など自身の理想をかなえたい気持ちが先行し、設備やデザインにばかり意識が向きがちです。失敗例としては「キッチンが狭く、ものが置けない」「キッチンの高さが合わず腰痛に」「収納の奥行きがありすぎて使いづらい」などのケースがあります。
キッチンでは、調理台の広さや調理器具を置くスペース、ゴミ箱を置くための幅を確保することなども考える必要があります。キッチンで必要なものをどこに置き、収納するかを想定しながら、自分にとって作業しやすい調理台の高さや、実際の動線を考慮して設備やデザインを決めるようにしましょう。使い心地や掃除の手間といった「日常的に使うこと」にも意識を向けることが重要です。
水回りに関する失敗
浴室・トイレ・洗面所などの水回りは、間取りで失敗しがちな場所です。「脱衣所が狭い」「トイレと浴室の隣に寝室を配置してしまい音が気になる」「洗面所が狭くて混雑する」「2階に水回りをまとめたら不便だった」といった失敗例がよく挙げられます。
水回りの配置については、お風呂やトイレを使用する音を考慮して、上下や隣に寝室を配置しないなど、家族のライフスタイルを考えて配置を決めましょう。その際には、生活動線だけでなく、家事動線が悪くならないかどうかもシミュレーションすることが大切です。
設備面の失敗にも注意が必要です。たとえば、浴室の失敗例の一つに「デザインを重視して掃除まで考えなかった」という例があります。浴室の壁をタイルにすると、タイルの間の目地には吸水性があるためカビが発生しやすくなったり、浴室の壁の色が濃いとカルキ汚れが目立ちやすくなったりすることも。デザインだけではなく、機能性とのバランスも考えましょう。
部屋数の失敗
子ども部屋として部屋を多くつくったり、子育てのことを考えてリビングに和室を併設したりしても、子どもが成長して独立すれば使われなくなる可能性があります。
部屋数については、引き戸やパーティションなどで仕切って空間を設け、広い1つの部屋としても使用できるようにしておくと、子どもが独立した後でも有効に使うことができます。「部屋を多くつくりすぎて、使わない部屋が出てきてしまった」とならないよう、いつ・誰が・何のために使用する部屋なのか、具体的に考えて部屋数を決めるようにしましょう。
窓の配置・日当たりの失敗
注文住宅の間取りを考えるときは、周辺環境の確認も必要です。窓の配置で多いのが、「大きな窓を設置したけれど、室内が丸見えになってしまった」といった失敗です。採光目的で窓を配置しても、隣接している住宅からの視線や生活音が気になってしまうことがあるのです。
対策としては、住宅の窓の位置を隣家の窓とずらすことや、高窓などで室内が見えにくいように工夫することがおすすめです。もし、通りに面した場所に住宅を建てる場合は、目隠し用のフェンスを設置することも検討しましょう。
また、窓の方角によっては、朝日や西日で室内の気温が高くなりすぎてしまう場合があります。採光を主目的に設置する窓は明るさ、換気を主目的に設置する窓は熱損失を少なくすることを意識し、大きさや配置を決めるようにするといいでしょう。
収納に関する失敗
収納に関するよくある失敗は、収納スペースが足りなかったり、使いづらかったりといったものが挙げられます。収納スペースは広ければいいわけではなく、奥行きが必要以上に深いと逆に使いづらくなります。布団などの大きな荷物を収納したい場所には90cm以上の奥行きを確保するなど、あらかじめそこに収納する荷物を想定して、収納スペースの大きさを決めておく必要があります。
収納で失敗しないための対策としては、下記のポイントを意識してみるといいでしょう。
- 収納が少なすぎないか
- 収納スペースが適切な広さか(幅・奥行き)
- 使うものの近くに収納場所が確保できているか(トイレ用品、掃除用具、キッチン用品など)
コンセントに関する失敗
住み始めてから気づくことが多いのが、コンセントに関する失敗です。コンセントの数を多めにしても、結局は延長コードを使っているといったケースもよく聞かれます。
「必要な場所にコンセントがなかった」という失敗をしないよう、部屋ごとに使用する電化製品を想定し、配線計画を立てるようにしましょう。それ以外にも「ドアを開けた状態ではコンセントが隠れてしまう」といったケースがあるので注意が必要です。
注文住宅の失敗を防ぐには?

注文住宅の失敗を避けるためには、理想の機能や設備をすべて盛り込むのではなく、これまで紹介したような失敗例をふまえて検討することが大切です。実際の生活シーンを思い浮かべながら、動線やエリアごとに収納・コンセントの位置・窓の配置などの間取りを決めていくようにしましょう。
家族内で話し合うことはもちろん重要ですが、何度もチェックを重ねると見慣れてしまい、失敗を見逃す可能性があります。そのため、友人や知人などの第三者の目線で間取り図を見てもらうと、新しい気づきを得られることがあります。さらに、専門家にも相談しながら慎重に検討していくことも大切です。
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